ライチの国内流通メジャー品種の一覧及びその品種特性
ライチの国内流通メジャー品種の一覧
及びその品種特性
※収穫時期は現地で日本の時期ではありません。
1. 桂味 クワイミー
中国語:Guì wèi(グイウェイ)/広東語:Kwai Mai(クワイミー)
桂味は、中国広東省を代表する伝統的な高級ライチのひとつで、果実の芳香と濃厚な甘味から「ライチの女王」とも呼ばれる名品です。長い歴史を持ち、中国国内では糯米糍と並び「双璧」と評されることもあります。
果実は中玉サイズ(20〜25g前後)で、熟すと鮮紅色からやや暗紅色に色づきます。果皮は薄く、表面の突起はやや細かめで外観が美しいのが特徴です。果肉は白く透明感があり厚みがあってジューシーで、口に含むと芳醇な香りが広がります。
糖度は19〜21度と非常に高く、甘味が強い一方で酸味はほとんどなく、まろやかで濃厚な味わいを楽しめます。香りの豊かさはライチ品種の中でも際立っており、桂花(キンモクセイ)を思わせる芳香を持つと形容されることもあります。
「小核(シビル)」率が非常に高く、可食部は多め。熟期は7月上旬〜中旬の晩生種で、出回る時期が限られるため希少性があります。収量は多くなく隔年結果も起こりやすいため、大量流通には不向きですが、その分市場では高級品として扱われます。
総じて、桂味は「濃厚な甘味と芳香」「外観の美しさ」「希少性」を兼ね備えた最高級ライチのひとつであり、中国国内外で珍重されています。
2. クェイメイ・ピンク
英語表記:Kwai Mai Pink/Bosworth 3(B3)
クェイメイ・ピンクは、中国広東省の伝統品種「桂味(クェイメイ)」からオーストラリアで選抜育成され、オーストラリアや東南アジアで広く栽培・流通している品種です。現地では「Kwai Mai Pink」「Bosworth No.3」とも呼ばれ、商業生産における代表的な品種のひとつとなっています。
果実は中玉サイズ(20〜25g程度)で、熟すと鮮やかな赤色に染まり、市場映えのする外観を持ちます。果皮は比較的薄く、取り扱いやすい点も特徴です。果肉は白色で厚く、ジューシーで食感が良く、ライチらしいさっぱりとした香りがあります。
糖度は16〜18度程度で、甘味はしっかりしつつも爽やかで、酸味とのバランスが取れています。香りや濃厚さでは桂味や糯米糍といった高級品種には及びませんが、全体的に食べやすく安定した品質を誇ります。種子は中核タイプで、可食部は十分に確保できます。
熟期はオーストラリアでは12月頃、中国南部では6月頃の中生品種で、結実は安定しており多収性があるため、輸出・流通に向いた実用品種として位置付けられています。クェイメイ・ピンクは「安定した収量」「鮮やかな外観」「万人向けの味わい」で評価され、世界各地で最も一般的に流通するライチのひとつとなっています。
※「Kwai Mai」という名前は桂味の広東語発音に由来。
3. 桂花味
中国語:Guì huā wèi(グイホワウェイ)/広東語:gwai faa mei(グワイファーメイ)
※桂花味ライチは、「桂味」とは別品種である。
桂花味は、中国南部で伝統的に栽培されてきたライチ品種のひとつで、その名の通り「桂花(キンモクセイ)のような香りと味わい」を持つことから名付けられました。芳香性に優れ、香りのライチとして評価される名品です。
果実は中玉サイズ(20〜25g程度)で、熟すと鮮やかな赤色に色づきます。果皮はやや粗めですが均整がとれており、外観は美しい部類に入ります。果肉は白色で透明感があり、ジューシーで柔らかい食感を備えています。
糖度は17〜19度と十分に高く、甘味がしっかりしている一方で酸味は少なく、まろやかで食べやすい味わいです。最大の特徴は香りで、桂花(キンモクセイ)のような甘く華やかな香りを漂わせます。種子は中核タイプで標準的な大きさ。熟期は6月下旬〜7月の中生種で、収量は比較的安定しています。
総じて、桂花味は「芳香・甘味・華やかな風味」を特徴とする品種で、観賞性・商品性が高く評価されています。
4. 玉荷包 ぎょっかほう
中国語:Yù hé bāo(ユーハーバオ)/広東語:juk⁶ ho⁴ baau(ユッホーバーウ)
玉荷包は、台湾を代表する高級ライチ品種で、外観の美しさと小核性、そして豊かな甘味で広く知られています。「玉=美しい宝石」「荷包=巾着袋」→果実の形がふくらんだ袋に似ることから命名され、高級感と華やかさを備えたライチです。
果実は大玉サイズ(25〜35g前後)で、外観は鮮やかな赤色に染まり、丸みを帯びながらやや縦長の形状をしています。果皮はやや厚めで輸送性に優れ、贈答用にも適しています。果肉は白色で厚く、透明感がありジューシー。食感は歯ざわりが良く弾力があり、豊潤な口当たりを楽しめます。
糖度は19〜21度と非常に高く、酸味が少なく濃厚な甘味が際立ちます。最大の特長は小核性で、チキンタンシード(鶏舌子)と呼ばれる小さい種が多く、可食部が非常に多い点にあります。
台湾でのメインは5月中旬〜6月上旬。収量は安定しており、台湾のライチ市場における中心品種として定着しています。総じて「大玉・小核・高糖度・芳香」を兼ね備えた台湾最高級ライチです。
5. 妃子笑 ひししょう
中国語:Fēi zǐ xiào(フェイズーシァオ)/広東語:fei¹ zi² siu³(フェイジーシウ)
妃子笑は、中国を代表する有名なライチ品種のひとつで、歴史的な故事にちなんで名付けられました。唐代、玄宗皇帝が楊貴妃にライチを献上したところ、その美味しさに妃が思わず笑みを浮かべたという逸話から「妃子笑(妃が笑う)」の名が生まれたとされています。
果実は中玉〜やや大玉(20〜25、ときに30g程度)で、果皮は鮮やかな赤色に色づきます。果肉は白色で透明感があり、ジューシーで柔らかい食感を持っています。糖度は16〜18度程度で、甘味は十分ながら爽やかで軽やかな味わいが特徴です。
完熟しても「フルレッド」にならず、「緑の中に赤が差した状態」が最も美味しいとされる特殊な品種です。熟期は中国南部では6月上旬〜中旬の早生品種で、市場に最も早く出回るライチとして重宝されています。
総じて、妃子笑は「早生・食べやすい甘さ・安定生産」を特徴とする中国で最も普及したライチであり、歴史的な背景と親しみやすい味わいによって広く愛されています。
6. ノーマイチ/糯米糍
中国語:Nuò mǐ cí(ヌオミーツー)/広東語:no⁶ mai⁵ ci⁴(ノーマイチー)/だいべいし/もちごめライチ
糯米糍は、中国広東省を代表する伝統的な最高級ライチのひとつで、その名は「糯米団子(もち米のお菓子)」に由来します。果肉が柔らかく、もちもちとした食感と濃厚な甘さで古くから珍重されてきました。
果実は大玉(25〜35g程度)で、熟すと鮮やかな紅色に色づきます。果肉は白色で透明感があり、厚くてジューシー。やや粘質を帯びた「もちもち」した独特の食感を楽しめます。糖度は20度前後と非常に高く、酸味はほとんどなく、濃厚な甘味が前面に出ます。
種子は小核性で、チキンタンシード(鶏舌子)と呼ばれる非常に小さい種が混じることも多く、可食部が非常に多いのも大きな魅力です。熟期は7月上旬〜中旬の晩生で希少性が高いですが、隔年結果の傾向が強く、収量は不安定です。
総じて、糯米糍は「大玉・小核・高糖度・もちもち食感」の四拍子が揃った最高級ライチであり、中国国内外で高級贈答用として人気を集めています。
7. 黒葉ライチ コクヨウ
中国語:Hēi yè(ヘイイエ)/広東語:hak¹ jip(ハックイップ)
黒葉は、中国で広く普及している代表的なライチ品種のひとつで、その名は「黒い葉」を意味します。実際に葉がやや濃い緑色を帯びることに由来しており、古くから「庶民派ライチ」として市場を支えてきました。
果実は中玉(20〜25g前後)で、果皮は鮮やかな赤色に熟します。果肉は白色でジューシー、繊維質は少なく食べやすいのが特徴です。糖度は16〜18度程度で、全体的にさっぱりとした味わいです。種子は中核で標準サイズ。熟期は6月中旬〜下旬の中生種です。
総じて、黒葉は「安定生産・多収・食べやすい甘さ」を特徴とする普及型品種で、中国市場における供給の基盤を担う存在です。
8. 仙進奉 せんしんほう
中国語:Xiān jìn fèng(シェンジンフェン)/広東語:sin¹ zeon³ fung⁶(シンジュンフォン)
仙進奉は、中国福建省を代表する伝統的な高級ライチ品種のひとつで、その名には「仙(神仙に捧げるような)」「進奉(献上する)」という意味が込められています。かつて朝廷への貢物として珍重された歴史を持ちます。
果実は大玉(25〜30g程度)で、果皮は鮮やかな紅色に熟します。果肉は白色で透明感があり、厚みがあってジューシーです。糖度は19〜21度と高く、甘味は濃厚でありながら酸味は控えめで、まろやかな味わいを楽しめます。ライチ特有の芳香も強く、フルーティーで華やかな香りが広がります。
熟期は6月下旬から7月にかけての中生〜晩生で、シーズン延長品種として重宝されます。総じて「大玉・高糖度・芳香・歴史的ブランド性」を兼ね備えた名品です。
9. 大早ライチ ダイゾウ・ライチ
中国語:大早荔枝 Da Zao Lychee(ダーザオ リージー)/広東語:daai⁶ zou² lai⁶ zi¹(ダイゾウ ライジー)
大早は、中国で栽培される代表的な極早生ライチのひとつで、「大きくて早く熟す」ことを特徴としています。シーズンの最初に市場に登場するライチとして位置付けられています。
果実は中玉〜やや大玉(25〜30g程度)で、果皮は鮮やかな赤色に色づきます。果肉は白色で透明感があり、ジューシーで柔らかい食感が楽しめます。糖度は17〜19度程度と甘く、爽やかであっさりとした風味が特徴です。
熟期は5月下旬〜6月上旬と非常に早く、妃子笑や三月紅と並んで早生ライチの代表格。総じて「極早生・安定・爽やかな甘さ」を特徴とする品種です。
10. フォンフェイライチ
(鳳飛荔枝/鳳菲荔枝)同音異字/中国語:Fēng fēi lì zhī(フォンフェイ リージー)/広東語:fung⁶ fei¹ lai⁶ zi¹(フォンフェイ ライジー)
フォンフェイは、中国南部(広東省・広西省)で知られる在来品種のひとつで、「鳳凰が舞い飛ぶように美しいライチ」という意味を持つ優雅な名前が特徴です。
果実は中玉〜やや大玉(20〜28g程度)で、熟すと鮮やかな赤色を呈します。果皮は比較的なめらかで色合いが良く、見栄えに優れています。糖度は18〜20度前後と高く、甘味が強い一方で酸味は少なく、食味はまろやかです。
種子は小〜中核タイプで可食割合が高い品種。熟期は6月下旬から7月にかけての中生〜晩生。総じて「鮮やかな外観・芳香・濃厚な甘味」を備えた品種です。
11. 三月紅
中国語:Sān yuè hóng(サンユエホン)/広東語:saam¹ jyut⁶ hung⁴(サームユッホン)
「三月=旧暦三月頃に熟す」「紅=赤い実」から命名。極早生であることを強調。果実は大玉(24〜30g程度)、果皮は鮮紅色。表皮は薄めでトゲ突起は少なめ。
果肉は白色で柔らかく、さっくり食感、糖度15〜17度程度。さっぱりとした甘さで、濃厚さは控えめ。香りは軽やかで爽やか。種は中核。極早生タイプで妃子笑よりさらに早い。収量は比較的安定。主に中国広東省・福建省・海南省などで栽培されます。
市場に最も早く出回る「季節の先駆けライチ」。味は軽やかで、季節感を楽しむための品種として人気です。
12. チャカパット
Chacopat (Chakapat)
チャカパットはタイ原産のライチ品種で、タイ語の「Chakrapat/皇帝」に由来する。果実は非常に大きく(過去には最大50gとの報告)、果皮は赤色〜濃赤色でやや厚め。
果肉は白色、ジューシーで甘みは十分、酸味は少なめで標準〜上質的味わい、種子はやや大きめ。晩生で樹勢は強く収穫量多い。熱帯より亜熱帯性で、高地・涼しい環境で栽培が安定しやすい。味的には高級種に負けることもあるが、サイズの大きさ・豪華さで話題になることが多い。
13. KHOM コム
タイ語:ค่อม/Khom(「低い/ずんぐりした」の意)
果実は中〜大玉(25〜30g程度)、果皮は赤色でやや濃いめで鮮やかさがある。果肉は白色でジューシー、厚めで柔らかい、糖度18〜20度程度。甘味が強く酸味は少ない。穏やかな甘い香り。種は小核性(チキンタンシード率が比較的高い)。中生で樹勢強く、結実は安定。多収型。
タイ中部〜北部で栽培される主要品種の一つ。大玉・小核・甘い という点で商業性が高く、人気種である。タイ国内市場での定番かつタイの代表的品種。輸出用としても注目されています。
14. Hong Huay ホンフワイ
タイ語:ฮงหวย(Hong Huay)/中国語表記:紅淮/紅懷
命名は中国由来の外来語である可能性が高く、紅(Hóng)=赤い、懷(Huái)/淮(Huái)=地名や人名由来という解釈が有力。「紅懷」「紅淮」と表記されることがあり、直訳すると「赤い淮(Huai)」となる。
果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は鮮やかな赤色。熟すと光沢があり美しい。果肉は白色でジューシー、ややしっかりした食感、糖度は16〜18度程度。甘さは十分だが濃厚というより爽やか。穏やかで清涼感のある香り。種は中核。中生。
非常に多収で結実安定。タイ全土で広く普及。タイの代表的なライチ品種で、国内消費と輸出用に広く利用されています。
15. 大丁香
中国語:Dà dīng xiāng(ダーディンシャン)/広東語:daai⁶ ding¹ hoeng¹(ダイディンヒョン)
「丁香=丁子香(クローブ)」から命名。香りが強いライチであることを示唆している。果実は中〜大玉(25〜30g前後)、果皮は赤色〜濃赤色。表皮はやや粗め。果肉は白色で厚め、ジューシー、糖度17〜19度程度。甘味は十分で酸味は控えめ。
芳香が強く、桂花味や香荔と同じ「香り系ライチ」として評価される。種は中核〜やや小核。中生〜やや晩生。結実は安定しているが、産地限定で広域流通は少ない。広東省を中心に伝わる在来品種。芳香を楽しむ愛好家向けの品種でもある。
16. 香荔
中国語:Xiāng lì(シャンリー)/広東語:hoeng¹ lai⁶(ヒョンライ/ホンライ)
「香=芳香」から。香りの強さを特徴として命名。果実は中玉(20〜25g前後)で果皮は赤色〜濃紅色、皮はやや薄い。果肉は半透明で柔らかくジューシー、糖度17〜19度程度。甘味は強いが、香りが際立つため独特の風味がある。非常に強い芳香(花香に近い)を持つ。種は中核〜やや小核。
中生〜やや晩生。着果は安定せず、隔年結果が起こりやすい。広東省を中心に伝統的に栽培されるが、生産量は少ない。強い芳香を楽しむ「香り系ライチ」の代表格であり、希少品となっている。
17. 沙坑種
中国語:Shā kēng lì zhī(シャークン リージー)/広東語:saa hang lai zi(サーハン ライジー)/別称:沙坑荔枝
中国広東省茂名市・電白区「沙坑村」など地名由来とされる。果実は中玉(20〜25g程度)で果皮は赤色〜鮮紅色。果肉は白色でジューシー、やや柔らかめ、糖度17〜19度前後。甘味が強く、酸味は少なめ。芳香があり、甘い香りを持つ。種は中核〜やや小核。中生種。
結実は比較的安定、多収型。広東省茂名市電白区・沙坑村周辺が中心に栽培される地域限定品種。甘さが強くジューシーで食味は良好だが、広域流通は少なく希少である。
18. 竹葉ライチ
(竹葉荔枝)/中国語:Zhú yè lì zhī(ジュイエ リージー)/広東語:zuk¹ jip⁶ lai⁶ zi¹(ズッイップ ライジー)
葉が細長く竹の葉に似ることから命名。果実は中玉〜やや大玉(25〜30g前後)、果皮は赤色〜濃紅色。果肉は白色で厚く、ジューシーで繊維が少なく、糖度は18〜20度程度で甘味が強く酸味は控えめ。種子は小核〜中核で小核性の系統が多い。中生種。
多収タイプで、安定した結実性を持ち、台湾・中国南部の温暖地で広く栽培される。台湾市場では黒葉と並ぶ定番品種の一つ。種が小さめで果肉厚いため食味が良く、安定した収量のため人気が高い。
19. 紅寶石
中国語:Hóng bǎo shí(ホンバオシー)/広東語:hung⁴ bou² sek⁶(ホンボウセッ)
「紅=赤」「寶石=宝石」。果皮が鮮やかで宝石のように美しいことから命名。果実は中玉(20〜25g前後)、果皮は鮮紅色〜濃紅色。果面はやや粗いが、光沢があり見栄えが良い。果肉は白色で厚め、透明感がありジューシー、糖度17〜19度程度。甘味が強く、酸味は少ない。
穏やかなライチ香。種は中核〜やや小核。中生。比較的安定して多収。中国南部(広東省・福建省など)で主に栽培。外観の美しさと甘味が特長の実用品種で、贈答用にも適する。
20. 吉荔 吉ライチ
中国語:Jí lì(ジーリー)/広東語:gat¹ lai⁶(ガッライ)
「吉=吉祥・縁起が良い」「荔=ライチ」。縁起の良い果実として命名された。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は赤色。熟すと鮮やかで、やや暗めの紅色を帯びることもある。果肉は白色でジューシー、果肉厚め、糖度17〜19度程度。甘味はしっかりあるが濃厚さはやや控えめ。
穏やかな甘い香り。種は中核。中生。豊産で結実安定。栽培が容易。主に中国広東省を中心とした南部地域で栽培。縁起の良い名前+豊産性+食味安定から、庶民向け・実用的な安定品種として人気。
21. 翠玉
中国語:Cuì yù(ツィーユィー)/広東語:ceoi³ juk⁶(チョイユッ/ツォイユッ)
「翠=翡翠色」「玉=宝玉」。果皮や果肉の美しさから命名されたとされる。果実サイズは中玉(20〜25g程度)、果皮は熟すと赤色だが、果皮にやや緑色が残るのが特徴。果肉は白色で厚く、ジューシー。透明感がある。糖度17〜19度程度。甘味は強めで酸味は少なめ。さわやかな芳香がある。種は中核〜やや小核。中生。
比較的安定して結実。多収型。中国広東省で主に栽培され、台湾でも一部導入。「赤果皮の中に翠(緑)がかる外観」「透明感ある果肉」が美しい品種。食味も良好で、観賞性・商品性が高い。
22. シャンチー(山枝)
中国語:Shān zhī(シャンチー/シャンジー)/広東語:saan¹ zi¹(サンジー)
「山に生える枝のライチ」の意味から命名。山地・丘陵で栽培されてきた在来系統。果実は中玉(20〜25g程度)で果皮は赤色〜紅色。果皮はやや粗め。果肉は白色で厚め、ジューシー、糖度17〜19度程度。甘味が強く酸味は少ない。芳香がある。やや強めのライチ香。種は中核。中生。
多収で結実安定。栽培しやすい品種で、広東省・広西省の山地丘陵地帯に多い。地域的に広く普及した在来品種。食味安定だが、桂味や糯米糍ほどの高級感はなく実用的品種として流通している。
23. ローズレッド
玫瑰紅荔枝/中国語:Méiguī hóng lì zhī(メイグイ ホン リージー)/広東語:mui⁴ gwai¹ hung⁴ lai⁶ zi¹(ムイグワイ ホン ライジー)
「玫瑰=バラ、紅=赤」→バラのように鮮やかな赤色果皮をもつことから命名。果実は中玉〜やや大玉(25〜30g前後)で、果皮は鮮やかなローズレッド色、完熟時に非常に見栄えが良い。果肉は白色、ジューシーで甘みが強い、酸味は少なめ、糖度18〜20度程度。種は中〜やや小粒。やや晩生。
樹勢は強く、多収タイプ。主に台湾や中国南部の温暖地で栽培され、比較的育てやすく結実安定。果皮色の美しさが最大の特徴で、贈答用・観賞的価値が高い。
24. カオシュンアーリー
高雄阿里荔枝/中国語:Gāoxióng Ālǐ lì zhī(カオション アーリー リージー)/広東語:gou¹ hung⁴ aa³ lei⁵ lai⁶ zi¹(ゴウホン アーレイ ライジー)
台湾の高雄・阿里山周辺で栽培されており、地名を冠したローカル系統。果実サイズは中玉(20〜25g程度)で、果皮色は熟すと赤色〜鮮紅色。果肉は白色でジューシー、繊維少なめ、甘く17〜19度前後に達する。種は中くらいから小粒系統。中生種で玉荷包よりやや遅い。
樹勢は強く、比較的安定した結実性を持つ。玉荷包ほどのブランド力はないが、甘さと安定収穫性が評価され、台湾市場では定番品種の一つ。
25. ブルースター
Blue Star
オーストラリアで選抜・普及している品種のひとつ。果実は中〜大玉(25〜30g程度)、果皮は鮮やかな赤色。表皮は比較的均一で見栄え良い。果肉は白色で厚く、ジューシーで繊維が少なく、糖度17〜19度前後で甘みが安定していて食味良好。穏やかでフレッシュな香り。種は中核。中生種。
着果は安定しやすく、多収型で商業栽培に適する。豪州の亜熱帯気候に適応。見た目の良さと安定品質から輸出や国内市場向けに有望な商業品種であり、オーストラリアではクワイミーピンクと並ぶ代表品種のひとつ。
26. モーリシャス=Tai So(大双)
英名:Mauritius/Tai So
もともとはインド系統のライチで、広東からアフリカのモーリシャス島に導入されて広く普及したことから、この名前で呼ばれる。アフリカ・インド洋地域だけでなく、オーストラリア・ハワイ・アメリカなどでも栽培され、英語圏では最もよく知られている品種のひとつ。
果実サイズは中玉(20〜25g程度)で、果皮色は濃赤色〜深紅色、比較的鮮やかで見栄えが良い。果肉は白色で繊維質少なくジューシー、糖度17〜19度程度で甘みと酸味のバランスがよい。熟期は中生。多収で結実安定。隔年結果が少なく、商業栽培に非常に適している。
※「Mauritius」という品種名は、栽培地・輸出国の名前がそのまま品種名として定着したケースである。
27. GLOSS
クイーンズランド州(豪)で開発された新品種。交配母親系統がタイの「Khom(コム)」であるため、低木で管理しやすく、雨による実割れに強いという商業的メリットが期待されています。
三月紅種よりも収穫時期が早い極早生、果重30g、糖度19度。鈴なりの極早生品種。詳細は調査中です。
28. 懐枝 Wai Chee ワイチー
中国語:Huái zhī(ホワイジー)/広東語:waai⁴ zi¹(ワイジー)
「懐(Huái)」は地名・人名に由来し命名された説あり。古くから文献に記載がある在来種。果実は中玉(20〜25g前後)で果皮は赤色〜濃紅色。果皮の突起はやや粗い。果肉は白色で厚くジューシー、糖度17〜19度程度。甘味はしっかりしており酸味少なめ。やや強めの芳香がある。種は中核。中生〜晩生。
樹勢は強く結実安定。隔年結果は比較的少ない。中国広東省を中心に栽培されている。歴史的に有名な品種で、「荔枝の四大名品(挂緑・桂味・糯米糍・懐枝)」の一つである。
29. 挂緑
中国語:Guà lǜ(グアリュイ)/広東語:gwaa³ luk⁶(グアロッ/グワルッ)
唐代の詩人・杜牧が詠んだ詩に登場する名品とされる。果皮の赤の中に緑が「掛かる」ことから命名された。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は赤色に緑色がかかる独特の果皮色。果肉は白色で厚く、透明感がある。ジューシーで繊維は少ない。
糖度19〜21度。甘味は濃厚で酸味はほとんどない。非常に芳香が強く、華やか。種は小核〜チキンタンシードで可食部が多い。晩生。隔年結果の傾向が強く、収穫が安定しにくい。中国広東省・増城が伝統的産地であるが現在はほとんど現存しない希少種。「荔枝の王」と称される伝統品種。現在は増城の母樹から接ぎ木された系統(新掛緑など)がわずかに流通しています。
30. 双剣
中国語:Shuāng jiàn(シュアンジエン)/広東語:soeng¹ gim³(ソンギム)
「双剣=二本の剣」の意味。果実や果柄の形状、あるいは果実の対生的なつき方から命名されたとされる。果実は中玉(20〜25g程度)で果皮は鮮紅色。果面はやや粗い。果肉は白色でジューシー、柔らかめ。糖度17〜19度程度。甘味強く酸味は少なめ。強い芳香がある。種は中核〜小核。中生。
結実は安定、多収傾向で広東省など南部中国の伝統的産地で見られる。現在は市場流通は少なく希少化しており、資料上の品種という位置づけに近い。
31. 陳紫
中国語:Chén zǐ(チェンズー)/広東語:can⁴ zi²(チャンヂー/チャンジー)
「陳」は人名あるいは地名由来、完熟時の紫がかった赤色の果皮色に由来し命名。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は赤紫色がかる独特の濃紅色。熟すと暗めの紫赤色を帯びる。果肉は白色で厚め、ジューシー、糖度17〜19度前後。甘味が強く酸味は少ない。芳香あり。種は中核。中生。
樹勢は強いが結実はやや不安定。隔年結果の傾向がある。広東省を中心とした地域で伝統的に栽培。歴史的記録に残るものの、現在は希少品種に近い位置づけで市場流通は少ない。
32. Emperor エンペラー
「皇帝」の名の通り、非常に大玉の果実をつけることから命名。果実は特大玉(通常30〜40g、最大50g超)。市販ライチの中では最大級。果皮は赤色。果面はやや粗く厚みがある。果肉は白色で厚く、ジューシー、糖度16〜18度程度。甘味はあるが濃厚ではなく、酸味も少なめ。
香りは穏やかで控えめ。種は大核〜中核だが果実が大きいため可食部は多い。中生〜やや晩生。樹勢強く、結実安定。オーストラリア、アメリカ(フロリダ)などで栽培。サイズの迫力で人気の品種。大玉・見た目の豪華さ・収量安定で商業栽培に向く。
33. 大糯
中国語:Dà nuò(ダーヌオ)/広東語:daai⁶ no⁶(ダイノー)
「糯=もち米」のように果肉が柔らかく粘質で甘いことから命名。糯米糍の「大型系統」として知られる。果実は大玉(25〜35g程度)、果皮は鮮紅色。果肉は白色で厚く、もちもち感がありジューシー、糖度19〜21で濃厚でコクのある甘さ。芳香があり、甘いライチ香が強い。種は小核〜チキンタンシードで可食部割合高い。
晩生。結実はやや不安定で隔年結果の傾向あり。広東省・広西省など中国南部で伝統的に栽培。「高級ライチ」に分類され、大玉・濃厚甘味・小核の三拍子がそろうが、晩生種で希少性が高い。
34. Bengal ベンガル
インド東部(西ベンガル州)を中心に広がったことから命名。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は濃い赤色。熟すと深紅色で見栄えが良い。果肉は白色で厚く、ジューシー。繊維は少なめ。糖度18〜20度。甘味が強く酸味は少ない。ライチ特有の芳香があり、甘い香りが強め。種は中核。中生。
結実安定、多収型で商業栽培に適している。主にインド・ビハール州、ジャールカンド州、西ベンガル州が中心に栽培。輸出も盛ん。インドで最も一般的に流通する品種のひとつ。
35. Salathiel サラシエル/サラティエル
オーストラリアで選抜された品種。聖書に登場する名前「Salathiel(サラティエル)」に由来。果実サイズは特大玉(30〜40g、最大50g近く)。Emperorと並ぶ最大級クラス。果皮は濃い赤色。外皮は比較的厚めで保存性がある。果肉は白色で厚く、ジューシーで歯ざわり良い。糖度18〜20度。甘味強く、酸味は控えめで食味良好。
香りは穏やか。種は非常に小さい。中生〜晩生。結実は安定だが、大果ゆえ収量はやや少なめ。主にオーストラリア北東部で栽培。大玉・小核・高糖度を兼ね備えた高級品種。外観の迫力と小核性で、高級贈答・輸出向けに非常に評価が高い品種である。
36. 白糖罐(白糖缶)
中国語:Bái táng guàn(バイタンガン)/広東語:baak⁶ tong⁴ gun³(バックトングン)
中国伝統のライチ品種のひとつで「白砂糖の壺」という意味に由来。果実がまるで砂糖壺のように甘いことから命名。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は熟すと鮮紅色〜やや橙赤色。果肉は白色で厚く、ジューシー。糖度18〜21度。甘味が強いが、酸味が乏しいためやや単調な印象になることもある。
甘いライチ特有の芳香。種は中核。中生〜晩生。比較的安定して多収。古くから商業栽培に利用される。広東省・福建省など南部で伝統的に栽培される歴史ある「伝統甘味系ライチ」。「甘味好き」な市場で評価されている。
37. 淮荔
中国語:Huái lì(ホワイリー)/広東語:waai⁴ lai⁶(ワイライ)
淮荔は、中国で記録されるライチ品種で、しばしば懷枝(Huái zhī)と混同されやすいので注意。「淮」は地名に由来する場合と、「懷(懷枝)」と同源の表記とされる場合がある。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は赤色〜濃紅色。果面はやや粗め。果肉は白色で厚くジューシー、糖度17〜19度程度。甘味は強く、酸味は少ない。
芳香があり、甘みを引き立てる。種は中核。中生〜晩生。樹勢は強く、結実も安定。多収傾向。広東省を中心に中国南部で伝統的に栽培される古典的な良品種のひとつ。歴史的に「四大名品」に数えられることもある。
38. 楠西早生
中国語:Nán xī zǎo shēng(ナンシーザオシェン)
台湾台南市楠西区で栽培されることから命名。「早生」は熟期が早いことを意味する。果実は中玉(20〜25g程度)、果皮は赤色でやや明るめ。果肉は白色でジューシー、透明感あり、糖度16〜18度程度。さっぱりとした甘味。穏やかな甘い香り。種は中核。早生で妃子笑と同じかやや早い。
比較的安定して多収。生産しやすい。台湾南部で多く栽培される早生ブランド。台湾のライチシーズン序盤を担う品種。早生性・収量性で市場性・評価が高い。
39. 旺荔
中国語:Wàng lì(ワンリー)/広東語:wong⁶ lai⁶(ウォンライ)
「旺=盛ん・豊か」「荔=ライチ」。豊産性で収量が多いライチという意味を込めた命名。果実は中玉(20〜25g前後)、果皮は鮮紅色。果肉は白色でやや厚め、ジューシー、糖度16〜18度程度。甘味は十分だが濃厚ではなく、食べやすい。穏やかな甘い香り。種は中核。中生。
非常に多収で安定。旺荔の名の通り、結実性が良い。主に広東省を中心に中国南部で栽培される。ブランド性は低いが「豊産・安定・甘味しっかり」でマーケットを支える実用品種。
40. 玫瑰紅
中国語:Méi guī hóng(メイグイホン)/広東語:mui⁴ gwai³ hung⁴(ムイグワイホン)
「玫瑰=バラ」「紅=赤」。バラの花のように鮮やかな赤い果皮から命名。果実は中玉(20〜25g前後)、果皮は鮮紅色〜濃いバラ色。光沢があり見栄えが良い。果肉は白色でジューシー、透明感があり、糖度17〜19度程度。甘味しっかり、酸味は少なめ。芳香あり。花のような香りを持つとされる。種は中核〜やや小核。中生。
結実は比較的安定。豊産性。主に中国広東省・福建省など南部地域で栽培。観賞性・商品性に優れた、市場映えする華やかなライチとして評価される。
41. 佐多(さた)/鹿児島1号?
※ 佐多、島津、篤姫、琉球等国内在来系は鹿児島県及び沖縄県、宮崎県の生産者の方にお聞きください。
由来:鹿児島県南大隅町の旧佐多町に古くからある系統。
特性:国内で最もポピュラーな在来種の一つ。果実は20〜25gの中玉。
食味:糖度は15〜17度程度で、甘みと酸味のバランスが良い「昔ながらのライチ」という味わい。
備考:樹勢が強く、日本の気候でも結実が比較的安定しているため、家庭菜園や国内生産のベースとなっている品種です。
42. 島津(しまづ)
※ 佐多、島津、篤姫、琉球等国内在来系は鹿児島県及び沖縄県、宮崎県の生産者の方にお聞きください。
由来:鹿児島県で選抜された系統。
特性:佐多に似ますが、より果実の品質にバラつきが少なくなるよう選抜されています。
食味:比較的さっぱりとした甘さで、後味が良いのが特徴。
備考:薩摩藩(島津家)の歴史的背景から名付けられた、ブランド性を意識した名称でもあります。
43. 篤姫(あつひめ)
※ 佐多、島津、篤姫、琉球等国内在来系は鹿児島県及び沖縄県、宮崎県の生産者の方にお聞きください。
由来:鹿児島県で選抜された、比較的新しいブランド呼称。
特性:佐多や島津の中から、特に食味や外観が良いものを選抜したエリート系統。
食味:糖度が乗りやすく、肉厚。
備考:贈答用としての流通を意識したネーミングであり、鹿児島産ライチのハイエンドモデルとして扱われます。
44. 琉球(りゅうきゅう)
※ 佐多、島津、篤姫、琉球等国内在来系は鹿児島県及び沖縄県、宮崎県の生産者の方にお聞きください。
由来:沖縄県で古くから栽培されている在来系統。
特性:系統としては「黒葉(コクヨウ)」に近いものが多いですが、沖縄の高温多湿な環境に適応しています。
食味:ジューシーで酸味は控えめ。完熟すると非常に濃厚な甘みが出ます。
備考:沖縄県内では「黒葉」の名前で流通していることも多いですが、島ごとに微妙に異なるクローンが存在します。
